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SPOON。
Spoon
Spoon
高野 宮子

 ばかばかしい
 スプーンは 曲がっちゃったんだ もう曲がっちゃったんだ
 こんなんじゃ もう何もすくえやしない どうせ取りこぼしてしまうくせに
 ぼくはいつだって ばかみたいに 撹拌されて いるばかり
 (孝志のモノローグ)

 
「恋愛」に関わることを考えていて、自己を振り返ってみると、
学生の頃に恋人だった1人の人を思い出す。

私は彼のことが好きで、けれど、彼と似たようなベクトルを持つことができなかった。
終わりにして、「うまくやれなかった」と思った。
思えば、始めからそんな気はしていたのだ。
もう少しうまくやれると思っていたのが、できなかった。
色々の原因はそこにいきつくのだけれど、当然のように周囲はそれでは納得しなくて、
説明するのが非常に面倒臭かったのを覚えている。


高野宮子氏の「SPOON」(表題作)にも「うまくやれない」恋人達が登場する。
主人公の孝志がそうして煮詰まっている一方で、
彼女の方もそう考えていたことが後で判明するのだ。
因みに、引用したモノローグは、スプーンを曲げる少年=裕也に出会った孝志が
元に戻せないスプーンを手に考えたことで、
この直後、誰も意図しないところで、曲げられたスプーンは元に戻る。


自分があの年代だった頃を思い返してみるのだが、
年を経てしまった今となっては、単純に比較することができない。
やはり幼かったとは思う。
この10年で積んできた経験値の差は大きい。

彼とは、おそらく二度と、親密になることはできないだろう。
「恋人」以外の関係は成り立たない。
私と彼とはそういう関係だったのだ。
けれど、彼と恋人として過ごした日々に後悔はない。

常に全開で考えに考えて選んできているし、
そうして選んだ道に、全く後悔がないと言えば嘘になるかもしれないけれど、
決して間違いではないと思っている。
それは、昔に戻りたいと思わないのと同じで。


余談:高野氏の「SPOON」は雑誌「ダ・ヴィンチ」に載った「私のとっておき」だったりする。
   高野氏の描く作品の雰囲気が大好きだ。
   ひとつひとつの台詞やモノローグに
   ヒトの不器用さや純粋さとかいったものが深く込められていて、
   ざっくりとした作者のタッチと合わせて一冊の絵本のような雰囲気を作っていて。
   スプーンを曲げたり戻したりする「意志のちから」はきっと誰の心にもある。
   本作は、例えばそんなことを静かに暖かく、時に痛みを伴って語ってくれる一冊。
| ヒトノコトノハ。 | 00:00 | comments(0) | trackbacks(0) |
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